Lively 朋より感謝を込めて

 

2018 やっと春》

自立援助ホーム Lively(ライブリィ)(とも)

                          〒405-0005 山梨市小原東716

                             ☎ 0553235771 

 

赤ん坊のように 

どうでもいいという 人間からは なにも生まれてはこない

そういう生き方からは なにも授かりはしない

祈るのだ

願うのだ 

赤ん坊のように いのちの声を 張り上げて

叫ぶのだ  

<坂村 真民一日一言より>

 

  「学校、楽しいです。楽ってことじゃなくて大変なんだけど、楽しいんです。」

   もどかし気に頬をピンクに染めて笑顔で報告するNさん。110ヶ月ほど前の初対面の日、思いつめた表情で黙して語らず、入居後「一人では寂しくて眠れません」。4~5日布団を隣りに敷き、夜中に何度も熟睡を確認した後、独寝に移行した子です。

 自分の思いをひたすら胸に閉じ込め、先ずはこちらが何を望んでいるのかを確認するかのように不安気な眼差しを向け、返事を求めると、「・・・」。押し黙ってしまう。時には大粒の涙が落ちたこともありました。

 色々なことを一緒にやりました。16歳で初めての自転車乗り練習、太腿に大きな青痣を作らせてしまった時には〝物を教えるには適切な時期があるのだなぁ″と、教えるほうが挫折するところでした。 幼児期であろうと16歳であろうと、初めて自力で自転車が動かせた瞬間の笑顔は全く同じでした。感動・感激!の表情です。(まさにその瞬間の写真があります。)そんな彼女が50ccバイク免許を難なく取得。今では自動車運転免許も取得し、免許証は生活のあらゆる場面で身分証明として活躍をしています。

 

西沢渓谷ハイキング、大菩薩登山、遊園地、ホテル宿泊体験、映画、観劇、コンサート

等、様々な人との出会いを体験をする中、今では一人で池袋・秋葉原・渋谷等への外出も

楽しんでいます。(アルバイト、本当によく頑張っているね。)

「保育士になりたかった。」あきらめきった過去の夢のように話したNさん。過去の話ではなく未来への実現可能な話にする気はないのかと問うと「えっ、なれるのですか」  

     

 

「なれるか、なれないか」ではなく「なるか、ならないのか」

彼女は「なる」と目標を定め、基礎学力をつけるために塾通いとピアノの個人レッスンを開始。この春、保育士資格免許取得のための学校通いが始まりました。

基本的には国と県から支払われる『措置費』、税金です。皆様が生活を保障して下さっています。有り難いことです。加えて本人の自覚による誠実で真摯な生活が自立のための貯蓄(アルバイト代)に繋がり、更に社会的養護の子ども達に給付型の奨学金も背中を押してくれ、今日の彼女がいます。有り難うございます。『恩送り』の時は廻ると信じます。

                

 闇と苦

 闇があるから  光がある

 苦があるから  楽がある

 闇を生かせ   苦を生かせ

 <坂村 真民一日一言より>

 

平成30324日はS君にとって目標達成の日でした。定時制高校に入学し、自ら「一年間無遅刻・無欠席」の決意を表明、やり遂げたのです。途中に何度か生活面で???な出来事はあり、彼と対峙する事があったものの、この決意だけは揺らぎませんでした。この目標がいかに遂行困難であるかは彼自身の言葉「このままだとかなりやばいなって思っていたけど、どうすればいいのか(抜け出すことが出来るのか)分からなかった。」にあるとおりです。自信を得た彼は「これをあと3年継続します。」と更なる目標を設定しました。

4月、春休み終了間近に「学校が始まるのが楽しみ。嬉しい。」の言葉あり。

早朝からのアルバイトに勤しみ、一人で外出範囲を少しずつ広げ、今では一人カラオケだけではなく、級友との誘いにも乗って外出を楽しみ、昼食を共にするバイト仲間も出来ました。

措置費に加え、公益財団法人 石澤奨学会の奨学金(給付型)もいただくことが出来、学費に憂うことなく、先般、中古でありますが個人持ちパソコンも購入出来ました。

大器晩成、今後が楽しみです。   

                          

 

 子ども達を「Lively朋の子ども達」ではなく、其々の名前で呼んで下さり、言葉を掛けて下さる方々が現れ始めました。

 「S君、可愛いじゃんね。ちょうど仕事をしている時でさ、言葉を掛けたら人懐こい顔でニコッとしてくれたよ。」「Nちゃん、進学おめでとうございます。」「山に一緒に行きたいのだけどS君、Nちゃんの予定はどうですか。」等々、有り難うございます。短期間利用ではない子ども達と地域の方々との交流があり、やっと、このような日が訪れました。有り難うございます。心より感謝申し上げます。

 そして、なんと念願のLively朋ホームページが作られました。少年たちの「こんなところがあるなんて知らなかったよ。」「もっと早くに分かっていたならな。」「誰も存在を教えてくれなかったよ。」居場所作りをしておきながら怠惰の一言に尽きます。事情を知った強力な助っ人ご夫妻がたちどころに作って下さいました。深謝!

緊急告知

「甲州無料塾ココロ」代表 西田隆男先生(スクールカウンセラー)とのご縁を戴き、山梨県立図書館交流ルームに併せ、ここ、Lively朋を会場として本年2月より無料塾を開講しております。対象は中学生と高校生(中退者も含む)。開講日時は原則的に毎週金曜日午後3時から5時まで(時間内出入り自由です)。基本的に個別指導。見学可能ですのでどうぞ近くの子ども達にお知らせください。この場を必要としている子ども達がきっといるはずです。大人が一声かけて誘ってみてください。 ☎ 0553235771 Lively(ライブリー)朋


「苦難は 神の愛 喜べ 喜べ」と真民さんは書くけれど、八方塞がりのこの状態をどんな

ふうにしたら喜ぶことが出来るのやら・・・。前理事長の夫は厚い壁やら大きな石に出くわ

すたびに「ピンチはチャンス! 大丈夫、大丈夫。」・・・、二人だからやってこられたけ

ど勝手に一人で手の届かない遠いところに行ってしまい、あー!もう嫌だ、無理!ダメ!  

 投げ出す寸前のところでした。

お世話になっている方から戴いた『坂村真民一日一言』を読み直していると件の『赤ん坊のように』がありました。

 全くです。その通りです。天から蜘蛛の糸が降りてきたように感じました。

祈って、願って、心で叫びました。「助けて下さい。道を示してください」と。

そして、助かりました。視界が開けてきました。閉塞感漂う中、志を抱き、行動に移している方々の存在を知りました。

時を同じくして前号で話題にした、『貧困層を対象とする金融機関で、ノーベル平和賞を受賞したグラミン銀行が日本に進出』の『グラミン日本』準備機構が日本各地でワークショップを行うと情報も入りました。東京会場に行ってこようと思います。

いつもそばに在って下さいましてありがとうございます。感謝とともに・・・。


Lively 朋より感謝を込めて

                                 2017年 秋~   

自立援助ホームLively

 

 

405-0005

 

山梨県山梨市小原東716

 

 

☎ 0553235771

 

 

 バングラのグラミン進出検討 「貧者の銀行」来夏日本へ 

久々に心躍る新聞記事が目に入りました。

「子どもの貧困解消!!」などと大上段に構えるつもりはありませんし、出来る訳も無い・・・。 が、自立援助ホームを運営することを許された者として、8年前の開設時以来、「未来に夢を持つことのできない閉塞感」に苛まれてきました。出逢った子ども達の抱えた荷物の大きさを見聞きするにつけ、“貧困の連鎖を断ち切る”などとんでもない、Lively朋は居場所の提供、ただそれだけ。たとえそれが雨宿り、止まり木のような短期間であったとしても本人がそれを望むのなら喜んで「その場」となりましょう、と日々を紡いできました。

高度経済成長期に生を受け、多感な時期には〝望んで努力をするなら叶えられないことは無い″ぐらいの勢いで突っ走ってきましたがLively朋で出会った子ども達は 「ハァ? そんなの意味ねぇし。」「無理だよ、そんなの。一度階段を踏み外したヤツがまた階段を上る訳ねぇじゃん。」「出来ねぇよ!」 

「万引きと暴走は同じだよ。見つかるか見つからないかのスリルか、限界までスピードを出して事故るか事故らないかのスリル、同じだな。」苛立つ言葉に右往左往し、彼らの心の片隅にある本音にまで心を添わせることが出来ませんでした。 

この春、一つの出会いがありました。

「学校に行かず、睡眠もとらずにゲームに夢中だった。このままだとかなりやばいなって思っていたけど、どうすればいいのか(抜け出すことが出来るのか)分からなかった。」という少年の言葉を聞き、きっかけは何であったとしてもLively朋に繋がってくれた幸いに感謝しました。

そう、「きっかけ」です。きっかけは良きにつけ悪しきにつけ「事」を

起こさなければ始まりません。事を起こしたい、と久々に熱い思いに駆られた記事でした。 

長々と喋ってしまいました。件の『バングラのグラミン』です。

『起業や就労によって貧困から脱却するのが目的』で『対象は、働く意欲と能力のある人』で『無担保で融資期間は6ヶ月または1年』で『最高20万円から始める』ざっくりとした内容ではあります(詳細はどうか興味を以ってお調べください)が、面白いと思いました。しかも、『利用者には少額でも毎週、貯蓄するよう奨励していく方針』なのだそうな。

これまでのように貧困からの脱却に対して〝おーい、天からお金よ降って来―い″と雨乞いならぬ金乞いをしているばかりでは何も始まらない。

非力であっても無力ではない一人の大人として行動を起こしたい。超低金利の安全(?)を抱えてシュウカツに勤しむより、この時代をしっかり生き抜いて、子ども達の未来に繋げる責任を果たしたい。来年夏が楽しみになりました。「グラミン日本」の運営開始、ハテサテ如何に? 

「グラミン日本」を真似て「グラミン青少年の自立を支える山梨の会(略してグラ(やま)」を考えてみました。すぐに土砂崩れ、でしょうか。

貧困から脱却しようと自分でも何とかせねば、と足掻きながら、きっかけが見つからない、どうしていいのか分からないという青少年がどうやって「グラ山」の存在を知るか? 「働く能力と意欲」は誰がどのようにして見極めるのか? そもそも 無担保、無利子であっても返済は必要となると未成年者との契約は成立するのか?等々、分からないことが次々と出てきます。

 特定非営利活動法人「青少年の自立を支える山梨の会」は200991日に発足し、2か月後の111日に自立援助ホームLively朋を開設しました。

 

8年が過ぎました。1日現員払い、家賃補助無し(現在は全額事務費で賄われています)、県単独加算無し、暫定定員設定、等の寒風吹きすさぶ中、「よく潰れないよね。」と揶揄されながらも運営が継続されているのは、断続的ではありながらもこの場所を必要とする子ども達が存在するという事実です。

そして、その子ども達を守るために使われているお金の殆どは税金で賄われています。   

昨年冬の経済危機(!!)を乗り越えた「里親手当」も皆様の税金です。

 有り難うございます。(勝手に〝山梨方式″やっちゃいました)

殆どを税金で賄われながらも暫定定員設定(利用者数が少ない)で、支援してくださる皆様の寄付金・会費、賛助会費・寄付物品等が大きな力を発揮してくれています。高額な商品券は食材の購入に、お米は開設以来、正月のもち米以外買ったことが無いという〝奇跡の米櫃″でちょうどよい時期に適切な量のお米が届いています。有り難うございます。野菜、果物は〝贅沢すぎる″と申し訳なくなるほどの届き方。無駄にすることの無いよう、保存食に加工し、全ていただいております。特にこの夏は「ナスの好きな子が来た」と話したとたんにナスが山のように届けられ、びっくりするやら困惑(ごめんなさい)するやらのナス三昧。ナスが苦手な子まで食べられるようになりました。

 

有り難いことです。幸せな事です。

現金(寄付金)にはなるべく手を付けないようにし、有事の際に備えています。

 

 有事とは何か、電化製品の故障修理・買い替え、公用車2台の車検・修理などで、暫定定員の措置費の中では支払い困難に陥った場合のお守りです。心強く、助かっています。有り難うございます。 

 肝心な子ども達、お陰様で元気です。 

現在の利用者は3名。女性2名、男性1名で3人共に高校生です。

全日制私立高校、県立定時制高校、県外私立高校、とそれぞれに勉学に勤しみ、

利用料支払いのためのアルバイトとして、近くのスーパーにて品出し、惣菜調理、レジに配属され、頑張っています。

 頑張っている・・・。頑張りすぎではないか、と思う程、午前6時、7時と時間差の朝食。夕食は午後6時半、10時、10時半、と生活時間帯は33様です。
 18歳の二人は来春高校卒業予定で進学・就職、と、望む未来に向けて羽ばたく準備をしております。(先日、♪僕らの背中の肩甲骨は 翼がはえた名残り♪という素敵な歌を聴きました。)

 

 16歳の子は子熊が冬眠から目覚めたばかりのように臆病な動きで様々な探索を始めました。「どうする?」「あなたはどうしたいの?」の問いに「ウーン、どうしましょうか。」「・・・。分かりません。」から半年が過ぎ、

 

しっかりとした声で挨拶・返事をし、「学校、すごく楽しいです。ちゃんと学校に行っておけばよかったと後悔しています。」高校入学後は無遅刻・無欠席です。

 

 先般、定時制通信制高等学校生のための『公益財団法人 石澤奨学会』奨学生と認められ、すでに第1回目の送金通知が彼の手元に届いています。

 

何の辞典も持たずに入居した彼への最初のプレゼントは国語辞典。文字を書くのに一つ一つを「あれ?どうでしたっけ?」と恥ずかしそうに聞く彼でした。今は初めての奨学金で、漢和・古語・英和・和英辞典を一緒に買いに行こうと話しています。左利き用のハサミも必要です。移動の車の中では前を走る車のプレートを見て県名を当てる遊びも始めました。このようなチャンスを与えて下さった石澤様、心よりお礼申し上げます。有り難うございます。

 

 そして今後の成長に期待を込めて申請書類に意見を添えて下さった先生方、アルバイト先店長には感謝の気持ちでいっぱいです。ありがとうございます。

  貯めたアルバイト代で自動車教習所通いをしている子がいます。「保育士になりたい。」とピアノの個人レッスンを受け、「ピアノの自主練習をしている時が楽しい」。基礎学力向上のための塾通いもする中で、先月のアルバイト代はついに10万円を超えました。花瓶に飾られた花の名前を言うと「ちょっと待って下さい、忘れちゃうのでメモします。」 誠実な人柄が報われますように。

(彼女の祖父からは丹精込めて育てられた見事な野菜が宅急便で度々届きます。

感謝です。)

   朝五時半、窓を開け放つと金木犀が香り、彼岸花が時の移ろいを教えてくれます。「もう」なのか「まだ」なのか、よくは分かりませんが時間は確実に過ぎています。23ヶ月。「まいったな・・・。」と大空を仰ぐとき、この感謝の便りに目を通して下さったお一人おひとりの存在が支えになって、全くの孤独に陥らずに今日を迎えることが出来ました。通信添削者(夫)は其処かしこから気配として光を注いでくれています。大丈夫、ありがとう・・・。

平成29926